英語の動詞tasteの語源を調べると、古期フランス語のtaster(現在のtâter)から来ていて、「触る」・「撫でる」・「手のひらで軽くたたく」と言う意味です。tasteは「味見する」と言う風にも使われて来ましたが、元の意味は「体験」に近かったのです。日本語でも、「経験」を表す際は「勝利・屈辱を味わう」と言う様な言い方をしますね。更に、tasteは英語で「味」や「体験」だけではなく、「好みも」や「センス」を表す事もできます。
しかし、「味」を表す際は、flavorと言う単語もあります。そして、「後味」はaftertasteと言います。では、「風味」の場合は何と言うのでしょう?例文を通してflavorとtasteの違いもこの記事で明らかにしたいと思います。
本日は、ネイティブ・スピーカーで異文化コミュニケーションの専門家(米・仏・日)である筆者が、「味」や「体験」を表すtasteの5通りの意味32選を紹介します。ついでにtasteを使ったイディオムもいくつかあります!
(1)「味」を見分ける時のtaste
(2)「一口・一飲み」・「味見をする」と言う意味のtaste
(3)「短い体験を味わう」・「基本的な特徴」を意味するtaste
(4)「(美に対する)審美眼」・「センス」を意味するtaste
(5)「好みに合う」・「合わない」を表すtaste
(6)その他の「〜味」、「風味」や「後味」を意味する表現
(1)「味」を見分ける時のtaste
・動詞としてのtaste
This cookie tastes funny.
「このクッキーは変な味がする。」
This coffee tastes sweet and bitter.
「このコーヒは甘くて苦いです。」
Thai food tastes too spicy for me.
「タイ料理は私にとって辛すぎる。」
※It’s too spicy for meでもOK!
This dish tastes like chicken. What is it?
「この食べ物は鶏肉みたいですが、何ですか?」
※英語圏において食べ物の風味を形容するときによく使われる表現です。
You can really taste the chocolate!
「チョコレートの味がしっかり味わえます!」
・名詞としてのtaste
This coffee has a sweet taste.
「このコーヒーは甘い味がします。」
This chef has a good/keen sense of taste.
「料理長の味覚がいい・鋭い。」
The new sous-chef has a poor sense of taste.
「新しい副料理長は味覚が悪い。」
こちらの記事もどうぞ → 先ずはここから覚える動詞haveの9通りの使い方73選
What does it taste like?
「どんな味がしますか?」
注:答えはIt tastes like~「〜の味がします」と言います。
How does your soup taste?
「スープは美味しいですか?」
注:What does it taste like?とは違います。返事はIt tastes (good/bad)などになります。
(2)「一口・一飲み」・「味見をする」と言う意味のtaste
Have a taste of this cake.
「このケーキを一口どうぞ。」
Can I have a taste?
「一口・一飲みいいですか?」
Would you like to taste this wedding cake?
「このウエディングケーキを味見してみますか?」
(3)「短い体験を味わう」・「基本的な特徴」を意味するtaste
He had a taste of his own medicine. Serves him right.
「彼はしっぺ返しを喰らったよ。自業自得だね。」
※他人に味わわせたのと同種の不愉快を仕返しとして自分が味わう羽目になることを表します。
I had a taste of summer vacation in Okinawa.
「沖縄で夏休み気分を味わってきました。」
Have you ever tasted this kind of defeat?
「この様な敗北を味わったことがありますか?」
Victory tastes so sweet!
「優勝・勝利は最高だね!」
※勝利の「味」は甘い物を食べた時と同じ喜びと言われています。
The service in that restaurant leaves a bad/sour taste in your mouth.
「あのレストランのサービスは気分を悪くさせます。」
※「(人)を不快にさせる」・「(人)の気分を悪くさせる」と言うイディオムです。
Natto is an acquired taste.
「納豆は慣れれば好きになる食べ物です。」
Now that she has tasted blood, there is no stopping her.
「勝利を味わった彼女をもはや止める事はできなし。」
※「(人が最初の成功で)味をしめて、更なる努力を促す」事を表します。
(4)「(美に対する)審美眼」・「センス」を意味するtaste
She has excellent taste in clothing.
「彼女は服のセンスがとてもいい。」
I have poor/terrible taste in fashion.
「私はファッションのセンスが悪い・酷いです。」
That joke is in poor taste.
「その冗談は悪趣味です。」
She has expensive taste in shoes.
「彼女は高価な靴を好みます。」
(5)「好みに合う」・「合わない」を表すtaste
American food is too salty for my taste.
「アメリカの食べ物は私にはしょっぱ過ぎる。」
The movie was not to her taste.
「彼女が好むような映画ではありませんでした。」
※「自分の期待していた・思っていた物」と言う意味合いになります。
The staff showed me a selection of ties that was completely to my taste.
「スタッフは私好みの(にぴったりの)ネクタイをいくつか見せてくれました。」
(6)その他の「〜味」、「風味」や「後味」を意味する表現
My favorite is chocolate-flavored ice cream.
「チョコレート風味のアイスクリームが一番好きです。」
My favorite flavor is Moka.
「モカ味が一番好きです。」
We have 31 flavors of ice-cream.
「31種類の味のアイクリームがあります。」
Dried shiitake mushrooms adds umami to the dish.
「干し椎茸は料理に旨みを加えます。」
※umamiはsaltiness、sweetness、sourness、bitternessに合わせて五基本味の一つとされています。
savoryとも言います。
This wine has a fruity aftertaste.
「このワインはフルーティーな後味があります。」
The Takeaway(要点):
英語のtasteの使い方は「味」の事だけではなく、「体験」・「好み」・「センス」と言う意味でも良く英語では使われます。また、flavorとも使い方が異なりましたね。「風味」などを説明する時はflavorとtasteを使い分けましょう。
更に、How does it taste?とWhat does it taste like?の違いもありましたね!「美味しいですか?」と「どんな味がしますか?」の使い分けに気をつけましょう!
Thank you for reading until the end! This is just a taste of how you can express yourself in English!