英語でプレゼンや会議に臨んだとき、「しっかり準備したのに伝わらない」「なぜか相手が動いてくれない」と感じたことはありませんか?
実は、説得力のある英語には明確な「型」があります。
日本語のコミュニケーションはハイコンテクスト文化です。空気を読み、暗黙の了解を共有しながら合意を形成するのが自然です。一方、英語圏のローコンテクスト文化では、「なぜあなたを信じるべきか」「なぜこれが重要か」「なぜこのアイデアが正しいか」を、すべて明示的な言葉で伝えなければなりません。この文化的な違いを理解していないと、内容がどれだけ優れていても、相手の心を動かすことはできません。
その解決策こそが、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが体系化した説得の3原則——「エトス(Ethos:信頼)」「パトス(Pathos:感情)」「ロゴス(Logos:論理)」です。この3つのうち、「パトス」という言葉はすでに耳にしたことがあるかもしれません。1990年代に社会現象となった「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」の歌詞に登場するあの言葉です。実はアリストテレスの哲学に由来する概念でした。
このフレームワークは、かつては西洋教育の基礎でした。フランスでは今もリセ(高校)の必修カリキュラムとして、論理的・説得力ある議論の組み立て方が体系的に教えられています。しかし多くの英語圏諸国では、こうした修辞学教育はいつの間にかカリキュラムから姿を消しました。つまり、「英語ネイティブなら自然にできる」わけでは、もはやないのです。意識的に学び直す価値は、日本人学習者だけでなく、すべての人にあります。パトスはすでにあなたの文化の中にある——あとは、エトス・パトス・ロゴスの3つを意識的に使いこなすだけです。
英語ネイティブの優れたスピーカーは、プレゼン・会議・ディスカッション・日常会話のすべてで、この3つを無意識に使い分け、相手を自然に動かしています。日本語話者がこのフレームワークを意識的に身につけることで、英語での説得力は飛躍的に向上します。
本日は、英語で相手を動かすフレーズ80選を、講師として18年以上の経験を持つネイティブ・スピーカーで異文化コミュニケーションの専門家(米・仏・日)である筆者が紹介します。
Content
- エトス —「信頼」を築く表現15選
- パトス —「感情」に訴える表現15選
- ロゴス —「論理」で説得する表現15選
- 反論・異論に対処する&リスクを下げる表現16選
- リフレーミング—会話を有利な方向に導く表現12選
- エトス・パトス・ロゴス3つの力を組み合わせる実践フレーズ7選
- やってはいけない英語—1つでも欠けると何が起きるか
- The Takeaway(要点)
📘 このフレーズ集の使い方
各フレーズには[Basic](初心者向け)と[Upper](中〜上級者向け)の2バージョンを収録しています。まずは [Basic] から始めて、自信がついたら [Upper] へステップアップしてください。
1. エトス —「信頼」を築く表現15選

解説: エトスとは、話し手の「信頼性・信用性」を確立するための表現です。日本語のハイコンテクスト文化では、肩書きや年齢、所属組織がその人の信頼性を暗黙のうちに伝えます。しかし英語のローコンテクスト文化では、「なぜ私の意見に耳を傾けるべきか」を自ら言葉で示すことが求められます。自己PRに聞こえるのでは……と躊躇する日本人は多いですが、英語圏では「自分の経験や根拠を語ること」は誠実さの表れと受け取られます。エトスフレーズは、話の中身に入る前に「聴く価値のある人間だ」と伝えるための投資です。プレゼンのオープニング全体についてはこちらの記事も参考にしてください。
1.
[Basic]
I have worked in this field for ten years, so I understand this challenge well.
この分野で10年間働いてきたので、この課題をよく理解しています。
[Upper]
I’ve been working in this field for over ten years, so I know this challenge firsthand.
この分野で10年以上働いてきたので、この課題を肌で知っています。
2.
[Basic]
From my experience with similar projects, I want to share what worked.
同様のプロジェクトの経験から、うまくいった方法をお伝えしたいと思います。
[Upper]
Based on my experience leading similar projects, I’d like to share what worked.
同様のプロジェクトをリードした経験から、うまくいった方法をお伝えしたいと思います。
3.
[Basic]
Our research team’s data supports this approach.
弊社の研究チームのデータはこのアプローチを支持しています。
[Upper]
According to our research team, the data strongly supports this approach.
弊社の研究チームによると、データはこのアプローチを強く支持しています。
4.
[Basic]
This strategy has been tested in similar markets and it works.
この戦略は同様の市場でテストされており、効果があります。
[Upper]
This strategy has already been tested and proven in similar markets.
この戦略は、同様の市場ですでに検証・実証されています。
5.
[Basic]
I want to be honest — this will be difficult, but I think it’s the right decision.
正直に言います——これは難しいですが、正しい判断だと思います。
[Upper]
Let me be upfront: this won’t be easy, but I believe it’s the right call.
率直に申し上げます。これは簡単ではありませんが、正しい判断だと確信しています。
6.
[Basic]
Our results are strong — we have succeeded in 90% of cases.
私たちの実績は確かです——90%のケースで成果を上げています。
[Upper]
Our track record speaks for itself — we’ve delivered results in 90% of cases.
実績が物語っています——90%のケースで成果を出しています。
7.
[Basic]
My team spent six months studying the data before this recommendation.
私のチームはこの提案の前に6ヶ月間データを調べました。
[Upper]
My team and I spent six months analyzing the data before making this recommendation.
私のチームは、この提案をする前に6ヶ月間データを分析しました。
8.
[Basic]
This is supported by the latest industry report, not just my opinion.
これは私個人の意見だけでなく、最新の業界レポートによって裏付けられています。
[Upper]
This isn’t just my opinion — it’s backed by the latest industry report.
これは私個人の意見だけではなく、最新の業界レポートによって裏付けられています。
9.
[Basic]
I spoke with three experts before reaching this conclusion.
この結論に至る前に、専門家3人に話を聞きました。
[Upper]
I consulted with three industry experts before coming to this conclusion.
この結論に至る前に、業界の専門家3人に相談しました。
10.
[Basic] I have studied this carefully, and I am confident in my proposal.
この件を十分に調べており、提案に自信を持っています。
[Upper]
I’ve done my homework on this, and I’m confident in what I’m proposing.
この件については十分な準備をしており、提案内容に自信を持っています。
11.
[Basic]
I was skeptical at first, but the numbers changed my mind.
最初は懐疑的でしたが、数字を見て考えが変わりました。
[Upper]
To be honest with you, I was skeptical at first — until I saw the numbers.
正直に言うと、最初は懐疑的でした——数字を見るまでは。
12.
[Basic]
I have lived in three countries, so I understand cultural differences.
3カ国で生活した経験があるので、文化的な違いを理解しています。
[Upper]
I’ve lived and worked in three countries, so I can speak to the cultural differences here.
3カ国で生活・仕事をした経験から、ここでの文化的な違いについてお話しできます。
13.
[Basic]
I understand your concern. I felt the same way at first.
ご懸念はわかります。私も最初は同じように感じました。
[Upper]
I understand your concern — I had the same reservations at first. ご懸念はよくわかります。私も最初は同じ疑問を持っていました。
14.
[Basic]
I recommend this because I have seen it work.
実際に効果を確認したので、これをお勧めします。
[Upper]
I wouldn’t be recommending this if I hadn’t seen it work firsthand.
実際に効果を目にしていなければ、これをお勧めすることはありませんでした。
15.
[Basic]
I want to be honest about both the good points and the risks.
良い点とリスクの両方について、率直にお伝えしたいと思います。
[Upper]
I want to be transparent with you about both the strengths and the risks.
強みとリスクの両方について、率直にお伝えしたいと思います。
2. パトス —「感情」に訴える表現15選

解説: パトスとは、聞き手の「感情・共感」に訴えかける表現です。日本語では感情を直接口にすることを控え、察してもらうことが多いですが(ハイコンテクスト)、英語では「あなたの状況を理解している」「これはあなたにとって重要だ」と明示的に言葉にすることで、相手の心が動きます。「感情的に見られるのでは」と心配する必要はありません。英語ネイティブは、パトスのない説得を「冷たい」「一方的」と感じます。論理だけでは人は動かない——これが、ローコンテクスト文化における説得の現実です。
16.
[Basic]
Think about how happy your team would be without this problem.
このプレッシャーがなくなったら、チームがどれほど楽になるか考えてみてください。
[Upper]
Imagine how your team would feel if they didn’t have to worry about this anymore.
もしチームがこの問題を心配しなくてよくなったら、どれほど助かるか想像してみてください。
17.
[Basic]
It is very frustrating when hard work is not recognized. I understand that.
努力が認められないのは本当につらいことです。その気持ちはよくわかります。
[Upper]
I know how frustrating it is when your hard work doesn’t get recognized.
努力が認めてもらえないときのもどかしさは、よくわかります。
18.
[Basic]
This decision affects real people, not just the business.
これは単なるビジネスの問題ではなく、実際の人々に影響する決断です。
[Upper]
This isn’t just a business decision — it affects real people’s lives.
これは単なるビジネス上の判断ではなく、実際の人々の生活に影響します。
19.
[Basic]
If we do this well, it will be very good for our customers.
これをうまくやれば、顧客にとって非常に良いことになります。
[Upper]
Think about what it would mean for our customers if we got this right.
これを成功させたとき、顧客にとってどれほどの意味を持つか、想像してみてください。
20.
[Basic]
Everyone wants to be heard. Let’s make sure everyone can speak freely here.
誰もが話を聞いてもらいたいものです。ここでは全員が自由に発言できるようにしましょう。
[Upper]
We’ve all been in a situation where we felt unheard — let’s make sure that doesn’t happen here.
誰もが「話を聞いてもらえない」と感じた経験があると思います。ここではそうならないようにしましょう。
21.
[Basic]
Thank you for listening to me on this topic.
この件についてお話を聞いていただき、ありがとうございます。
[Upper]
I really appreciate you taking the time to hear me out on this.
この件についてお話を聞いていただき、本当にありがとうございます。
22.
[Basic]
I am excited about this idea because it can help everyone involved.
関わる全員に良い変化をもたらせるこのアイデアに、とても期待しています。
[Upper]
What excites me most about this idea is the difference it could make for everyone involved.
このアイデアで最もワクワクするのは、関わる全員にとって大きな変化をもたらせる可能性です。
23.
[Basic]
I know this is important to you. I want to handle it properly.
これがあなたにとって重要だということはわかっています。きちんと対応したいと思います。
[Upper]
I can see this is important to you, and I want to make sure we address it properly. これがあなたにとって重要だということはよく理解しています。きちんと対応したいと思います。
24.
[Basic]
When I first heard about this problem, I felt the same as you do now.
この問題を最初に聞いたとき、今のあなたと同じように感じました。
[Upper]
Honestly, when I first heard about this problem, I felt the same way you do now.
正直なところ、この問題を最初に聞いたとき、今のあなたと同じように感じました。
25.
[Basic]
Imagine your client calling to say this was exactly what they needed.
クライアントから「まさに必要なものでした」と連絡が来る場面を想像してみてください。
[Upper]
Picture the moment when your client calls to say this was exactly what they needed.
クライアントから「まさに必要なものでした」と電話がきた瞬間を想像してみてください。
26.
[Basic]
I don’t want us to regret this decision later.
後でこの決断を後悔したくありません。
[Upper]
I don’t want us to look back on this moment and wish we had done something different.
後になって「あのとき別の選択をしておけばよかった」と思いたくないのです。
27.
[Basic]
This is personally important to me. I hope it is important to you too.
これは私にとって個人的に大切なことです。あなたにも同じように感じてほしいと思います。
[Upper]
This matters to me personally, and I hope it matters to you too.
これは私にとって個人的に重要なことで、あなたにも同様に感じていただければと思います。
28.
[Basic]
I spoke with people affected by this issue. What they shared really stayed with me.
この問題に影響を受けている人々と話しました。彼らが話してくれたことは、心に深く残っています。
[Upper]
When I talked to the people affected by this issue, their stories were eye-opening.
この問題に直面している人々と話したとき、その話は本当に目を開かされるものでした。
29.
[Basic]
I don’t need you to agree now. Just please listen with an open mind.
今すぐ同意していただく必要はありません。ただ、柔軟な姿勢で聞いてください。
[Upper]
I’m not asking you to agree right now — just to keep an open mind.
今すぐ同意してほしいわけではありません——ただ、オープンな姿勢で聞いてほしいのです。
30.
[Basic]
If we don’t act now, I am worried about what will happen.
今行動しなければ、次に何が起こるか心配しています。
[Upper]
If we don’t act now, I’m genuinely worried about what happens next. 今行動しなければ、次に何が起こるか、本当に心配しています。
3. ロゴス(Logos)— 「論理」で説得する表現15選

解説: ロゴスとは、事実・データ・論理的な構造によって相手を説得する表現です。英語のプレゼンや会議では、意見を「感覚」や「雰囲気」ではなく、「根拠のある言葉」で支えることが基本です。ローコンテクスト文化の英語では、「なぜそう言えるのか」を明示することが、強さと誠実さの証しとされます。ロゴスフレーズを使うことで、議論の流れをコントロールし、反論されにくい説得力ある発言ができます。エトス・パトスと組み合わせることで、初めてロゴスは最大の効果を発揮します。
🔺 ピラミッド原則:日本式の「論理」が英語で伝わらない理由
「自分の論理は正しいのに、なぜ英語の会議で伝わらないのか?」
その答えは「論理の中身」ではなく、「論理の順序」 にあります。
日本語:帰納的(結論は最後)
背景 → 理由 → 根拠 →「したがって、〜です」ハイコンテクスト文化では、聞き手が文脈を読みながら結論を予測します。
英語:演繹的(結論は最初)
結論「答えはXです。理由は3つあります。」→
根拠① → 根拠② → 根拠③ローコンテクスト文化では、結論を先に宣言し、根拠で支えるのが鉄則です。
「結局、何が言いたいの?」と英語話者に思われてしまう日本人話者の多くは、内容ではなく順序に問題があります。
以下のロゴスフレーズは、すべてこのピラミッド構造を前提に設計されています。プレゼン本論でロゴスフレーズをどう構成するかは、英語プレゼン本論フレーズの記事で詳しく解説しています。
31.
[Basic]
The data shows a 30% cost reduction with this approach.
データはこのアプローチでコストが30%削減されることを示しています。
[Upper]
The data clearly shows that this approach reduces costs by 30%.
データは、このアプローチがコストを30%削減することを明確に示しています。
32.
[Basic]
The numbers show the same trend for the past five years.
数字は過去5年間で同じトレンドを示しています。
[Upper]
If we look at the numbers, the trend has been consistent over the past five years.
数字を見ると、過去5年間にわたってトレンドは一貫しています。
33.
[Basic]
I think this is the best option. Here are three reasons why.
これが最善の選択肢だと思います。3つの理由をご説明します。
[Upper]
There are three main reasons why I believe this is the best option.
これが最善の選択肢だと考える主な理由が3つあります。
34.
[Basic]
Here is the evidence that supports this.
これを支持する証拠をお伝えします。
[Upper]
Let me walk you through the evidence step by step.
証拠を順を追ってご説明させてください。
35.
[Basic]
Research shows that happy employees are more productive.
研究は、満足している従業員ほど生産性が高いことを示しています。
[Upper]
The research shows a clear correlation between employee satisfaction and productivity.
研究では、従業員満足度と生産性の間に明確な相関関係が示されています。
36.
[Basic]
Let me explain the logic step by step.
論理を順番に説明させてください。
[Upper]
The reasoning here is straightforward — let me take you through it.
この論拠はシンプルです——順を追ってご説明します。
37.
[Basic]
[X] is one point. [Y] is another. So I recommend [Z].
[X]という点があります。[Y]という点もあります。だから私は[Z]をお勧めします。
[Upper]
On the one hand, [X]. On the other hand, [Y]. That’s why I recommend [Z].
一方では[X]、もう一方では[Y]。だからこそ、私は[Z]をお勧めします。
38.
[Basic]
Doing nothing is more expensive than making this change.
何もしない方が、この変化を起こすよりコストがかかります。
[Upper]
The cost of inaction far outweighs the cost of taking this step.
何もしないコストは、このステップを踏むコストをはるかに上回ります。
39.
[Basic]
A recent study shows companies using this strategy increased revenue by 40%.
最近の研究では、この戦略を使った企業の収益が40%増加したことが示されています。
[Upper]
According to a study published last year, companies that adopted this strategy saw a 40% increase in revenue.
昨年発表された研究によると、この戦略を採用した企業は収益が40%増加しました。
40.
[Basic]
Simply put: low risk, high reward.
シンプルに言うと:低リスク、高リターンです。
[Upper]
To put it simply: the risk is low, and the potential reward is high.
シンプルに言うと、リスクは低く、潜在的なリターンは高いです。
41.
[Basic]
Let’s look at both options together.
2つの選択肢を一緒に見てみましょう。
[Upper]
Let’s compare the two options side by side.
2つの選択肢を並べて比較してみましょう。
42.
[Basic]
It’s simple: to get [result], we need to do [action].
シンプルです:[結果]を得るには、[行動]が必要です。
[Upper]
The logic is straightforward: if we want [result], we need to take [action].
論理は明快です。[結果]を望むなら、[行動]を取る必要があります。
43.
[Basic]
Every option we looked at points in the same direction.
検討したすべての選択肢が同じ方向を指しています。
[Upper]
Every alternative we considered leads to the same conclusion.
検討したすべての代替案が同じ結論に至ります。
44.
[Basic]
The evidence clearly shows this is true.
証拠はこれが正しいことを明確に示しています。
[Upper]
The evidence doesn’t just suggest this — it confirms it.
証拠はこれを示唆するだけでなく、確認しています。
45.
[Basic]
In short, all the facts support this decision.
要するに、すべての事実がこの決断を支持しています。
[Upper]
In short, the facts support this decision from every angle we’ve examined.
要するに、検討したあらゆる角度から、事実はこの決断を支持しています。
📱 コラム:日常の中のエトス・パトス・ロゴス
このフレームワークは教科書の中だけにあるものではありません。SNS、広告、YouTubeの中に、すでに溢れています。
エトスの実例:YouTubeクリエイター 「元Google社員が教える〜」「医師監修」「10年間〜を続けてきた私が」——これらはすべてエトスの構造です。視聴者が再生ボタンを押す前に、「この人の言葉を聞く価値がある」と判断させる信頼構築フレーズです。
パトスの実例:SNS・Instagram 「あの頃の私と同じように悩んでいるあなたへ」「正直に言います——私も失敗しました」——共感と脆さを前面に出すこのスタイルは、フォロワーとの感情的なつながりを最大化するパトスの戦略です。エンゲージメント率が高いSNS投稿の多くは、パトスを核に設計されています。
ロゴスの実例:ビジネス系コンテンツ・TED 「〜の理由が3つあります」「データによると〜%が」「A社の事例では〜」——TED Talksや人気ビジネス書のタイトルや構成は、ほぼ例外なくピラミッド原則+ロゴス構造で組み立てられています。
4. 反論・異論に対処するリスクを下げる表現16選

解説:プレゼンや会議、ディスカッションでは、必ず反論や異論が生まれます。日本語のハイコンテクスト文化では、直接反論することを避け、沈黙や曖昧な表現で不同意を示すことが多いですが、英語のローコンテクスト文化では、反論は「議論を深める積極的な参加」として歓迎されます。ここで大切なのは、相手の意見を尊重しながら(エトス)、感情的なつながりを保ちつつ(パトス)、自分の立場を論理で示すこと(ロゴス)。この3つを同時に実現するのが、以下の「反論対処フレーズ」です。
また、相手が変化や新しい提案に抵抗を示すとき、その抵抗の正体はしばしば「リスクへの恐怖」です。英語のローコンテクスト文化では、この恐怖を明示的に認め、段階的な選択肢を提示することで、相手が「YES」と言いやすい心理的安全地帯を作ることができます。日本語では「まずはお試しください」という表現が自然に使われますが、英語にも同様の「Make it safe(安心させる)」フレーズがあります。
46.
[Basic]
That’s a good point. But I want to add that…
良いご指摘です。ただ、付け加えたいのは…
[Upper]
That’s a fair point. However, I’d like to add that…
ご指摘はもっともです。ただ、付け加えると…
47.
[Basic]
I understand your view, but the data shows something different.
おっしゃっていることはわかりますが、データは違うことを示しています。
[Upper]
I understand where you’re coming from, but the data suggests otherwise.
おっしゃっていることはわかりますが、データは別のことを示しています。
48.
[Basic]
Thank you for that view. Can you tell me more about your concern?
そのご意見をありがとうございます。懸念についてもう少し教えていただけますか?
[Upper]
I appreciate that perspective. Can I ask what’s driving that concern?
そのご意見はありがたいです。その懸念の背景にあるものを聞かせていただけますか?
49.
[Basic]
That is an important concern. Let me answer it directly.
それは重要な懸念です。直接お答えします。
[Upper]
You raise a valid concern. Let me address that directly. 重要な懸念をご指摘いただきました。直接お答えします。
50.
[Basic]
That’s a great question. It touches on the most important part of this issue.
素晴らしい質問です。この問題の最も重要な部分に触れています。
[Upper]
That’s actually a great question, and it gets to the heart of this issue.
実はそれは素晴らしい質問で、この問題の核心に触れています。
51.
[Basic]
I understand. Can you clarify — do you mean [X] or [Y]?
理解しました。確認させてください——[X]という意味ですか、それとも[Y]ですか?
[Upper]
I hear you, and I want to make sure I’m addressing the right issue — are you saying [X] or [Y]?
おっしゃっていることは理解しています。[X]をおっしゃっているのか、それとも[Y]でしょうか?
52.
[Basic]
I disagree, and I will explain why.
私は反対です。理由を説明します。
[Upper]
I respectfully disagree, and here’s why.
敬意を持って反論させてください。理由はこうです。
53.
[Basic]
That may be true sometimes, but this situation is different.
それが当てはまる場合もありますが、今回の状況は違います。
[Upper]
That might be true in some cases, but in this context, the situation is different.
それが当てはまるケースもあるかもしれませんが、今回の状況は異なります。
54.
[Basic]
I understand your point. But my bigger concern is…
おっしゃっていることはわかります。でも私がより懸念しているのは…
[Upper]
I take your point. That said, the bigger concern for me is…
ご意見はよく理解できます。とはいえ、私がより懸念しているのは…
55.
[Basic]
We can disagree on this point. Let’s focus on what we agree on.
この点については意見が異なっていいと思います。合意できる点に集中しましょう。
[Upper]
Let’s agree to disagree on this one and focus on what we can align on.
この点については見解の相違ということにして、一致できる点に集中しましょう。
🛡️ 相手の抵抗を下げる—安心させるフレーズ
56.
[Basic]
You don’t need to decide today. Let’s just think about the idea together.
今日は決める必要はありません。一緒にアイデアについて考えてみましょう。
[Upper]
You don’t have to commit to anything today — let’s just explore the idea together.
今日は何も決める必要はありません——一緒にアイデアを検討してみましょう。
57.
[Basic]
Can we try a small test first to see how it works?
まず小さなテストをして、どう機能するか確認できますか?
[Upper]
What if we started with a small pilot, just to see how it works in practice?
まずは小規模なパイロットから始めて、実際にどう機能するか確認してみませんか?
58.
[Basic]
There is no pressure. Even a small step will help.
プレッシャーはありません。小さな一歩でも大きな違いを生みます。
[Upper]
There’s no pressure here — even a partial step in this direction would make a difference.
プレッシャーは一切ありません——この方向に向けた小さな一歩でも、大きな違いを生みます。
59.
[Basic]
Feeling unsure at this stage is normal — let’s work through it together.
この段階で不安を感じるのは普通のことです——一緒に考えていきましょう。
[Upper]
It’s completely normal to feel uncertain at this stage — most people do. Let’s take it one step at a time.
この段階で不安を感じるのはまったく普通のことです——ほとんどの人がそう感じます。一つひとつ一緒に進めていきましょう。
60.
[Basic]
I think we agree on more than we think. Let me show you.
私たちは思っている以上に同意していると思います。確認させてください。
[Upper]
I think we actually agree on more than it seems — let me show you where.
実は、見た目よりも多くの点で同意していると思います——どこか一緒に確認しましょう。
61.
[Basic]
What do you need to feel ready to move forward?
前に進む準備ができるには、何が必要ですか?
[Upper]
What would need to be true for you to feel comfortable moving forward?
どんな条件が揃えば、前に進むことに安心感を持てますか?
5. リフレーミング: 会話を有利な方向に導く表現12選

解説: リフレーミング(Reframing)とは、相手の質問や批判を「そのまま受け取る」のではなく、会話の枠組みを意図的に組み替えて、より建設的な方向へ誘導するテクニックです。プレゼン後のQ&Aで鋭い質問を受けたとき、会議で想定外の反論が来たとき、ディスカッションで話が脱線しかけたとき——このフレーズ群が、あなたを守り、会話の主導権を取り戻します。
日本語のハイコンテクスト文化では、難しい質問に対して曖昧に答えたり、沈黙したりすることが「慎重さ」として通じる場合があります。しかし英語のローコンテクスト文化では、質問に対して「受け取った」「でも本質はここだ」と明示的に示すことが、知性と自信の証しとされます。
リフレーミングは3ステップで機能します:
①質問を受け入れる(Acknowledge)
②橋を渡す(Bridge)
③有利な地点へ着地する(Redirect)
以下のフレーズはこの3ステップを体現しています。どのフレーズにもBridge「橋」の役割をする表現が含まれていることに注目してください。
62.
[Basic]
That’s a good point. But I think the most important issue is…
良い指摘です。でも、最も重要な問題は…だと思います。
[Upper]
That’s an interesting angle. What I think gets to the heart of the matter, though, is…
面白い視点ですね。ただ、問題の核心にあるのは…
63.
[Basic]
Thank you for raising that. It connects to a key point I want to make.
それを挙げていただいてよかったです。私が伝えたい重要な点につながります。
[Upper]
I’m glad you raised that. It actually connects to a bigger point I want to make.
それを言っていただけてよかったです。実は、私が伝えたいより重要な点につながるのです。
64.
[Basic]
That’s important. While we’re on this topic, I also want to mention…
それは重要です。この話題に関連して、私もお伝えしたいことがあります…
[Upper]
That’s worth addressing. And while we’re on that topic, let me also highlight…
それは対処する価値のある点です。ついでに、その話題に関連してお伝えしたいのは…
65.
[Basic]
I understand your concern. I think the real issue is…
ご懸念はわかります。本当の問題は…だと思います。
[Upper]
I hear the concern behind that question. The real issue, as I see it, is…
その質問の背景にある懸念は理解しています。私が見る限り、本当の問題は…
66.
[Basic]
That’s a fair way to see it. That said, it might also help to ask…
それも一つの見方です。ただ、こう考えてみると役立つかもしれません——
[Upper]
That’s one way to look at it. What might be even more useful, though, is to shift the question slightly and ask…
それも一つの見方です。ただ、もう少し問いを変えてみると、より役立つ視点が見えてきます——
67.
[Basic]
That’s an important question. Before I answer, let me give you some context — it’ll make the answer much clearer.
大切な質問です。答える前に少し背景をお伝えします——そうすると答えがずっとわかりやすくなります。
[Upper]
That’s exactly the right question to ask. Before I answer directly, let me give you the context that makes the answer land properly.
まさに核心をついた質問です。直接お答えする前に、答えが正しく伝わるための背景をお伝えさせてください。
68.
[Basic]
I understand why [X] matters. To get the full picture, though, we also need to look at [Y].
[X]が重要な理由はわかります。ただ、全体像をつかむには[Y]も見る必要があります。
[Upper]
[X] is a genuinely important concern — I don’t want to dismiss it. What I’d like to do, though, is widen the frame slightly, because [Y] changes the picture significantly.
[X]は本当に重要な懸念です——軽視したいわけではありません。ただ、少し視野を広げたいと思います。[Y]が加わると、状況はかなり変わってくるからです。
69.
[Basic]
That’s a strong objection. It actually points to something important — let me show you why this changes things.
それは強い反論です。実はこれは重要なことを指し示しています——なぜ状況が変わるかお見せします。
[Upper]
I’m glad you pushed back on that — it’s the tension that matters most here. Let me reframe it, because what looks like a problem is actually where the opportunity sits.
それを指摘していただけてよかったです——そこにこそ最も重要な緊張点があります。少し枠組みを変えさせてください。問題に見えているものが、実はチャンスのある場所なのです。
70.
[Basic]
That’s a reasonable way to look at it. Let me try a different angle, though — I think it leads somewhere more useful.
それは妥当な見方です。ただ、別の角度から見てみましょう——もっと役立つ方向に向かうと思います。
[Upper]
I hear you — and that framing makes sense from where you’re standing. Let me offer a slightly different lens, though, because I think it opens up more options.
おっしゃっていることはよくわかります——あなたの立場からすれば、その捉え方は理にかなっています。ただ、少し違う見方を提案させてください。より多くの選択肢が見えてくると思います。
71.
[Basic]
That’s a fair point. But I see this as an opportunity. Here’s why.
それはもっともな指摘です。でも私はこれをチャンスと見ています。その理由はこうです。
[Upper]
That’s a fair challenge. What it really points to, though, is an opportunity — and here’s why.
それはもっともな指摘です。ただ、それが実際に指し示しているのはチャンスです——その理由はこうです。
72.
[Basic]
That’s an important topic — it deserves its own conversation. For today, though, can we focus on [X] so we can make real progress?
それは重要なテーマです——別途きちんと話し合う価値があります。ただ今日は、実質的な進展を出すために[X]に集中できますか?
[Upper]
That deserves a proper conversation — let’s set it aside for now and give it the dedicated time it needs, while today we stay focused on [X].
それはきちんと話し合う価値があります——今日は[X]に集中しながら、この問いには後でしっかり時間を取りましょう。
73.
[Basic]
I understand why we’ve been focused on this. Before we go further, though, I want to make sure we’re solving the right problem.
なぜここに集中してきたかはわかります。ただ、先に進む前に、正しい問題を解決しようとしているか確認したいと思います。
[Upper]
I can see why this has been our focus — it feels urgent, and that makes sense. Before we go further, though, I want to step back and check that we’re solving the right problem, because I think there may be a more important question underneath this one.
なぜこれが焦点になってきたかはわかります——緊急性を感じるのは理にかなっています。ただ、先に進む前に少し立ち止まって、正しい問題を解決しようとしているか確認したいのです。この問題の下に、より重要な問いが隠れているかもしれないと思っています。
6. エトス・パトス・ロゴス3つの力を組み合わせた例文7選

解説: エトス・パトス・ロゴスを単独で使うだけでも効果的ですが、3つを組み合わせることで、英語の説得力は飛躍的に高まります。英語ネイティブの優れたスピーカーは、このブレンドを自然にやってのけます。以下の7フレーズは、3つの要素を1〜2文に凝縮した「総合フレーズ」です。括弧内の「エトス」「パトス」「ロゴス」ラベルに注目しながら読んでみてください。どの要素がどこで機能しているかが見えてきます。
📌 組み合わせ方のコツ:
「エトス」でまず「なぜ私の言葉を聞くべきか」を示し、
「パトス」で「あなたにとってなぜ重要か」をつなぎ、
「ロゴス」で「なぜこれが正しいか」を締める。
この順序を意識するだけで、説得の流れが自然に生まれます。最初は3つを別々の文で使い、慣れてきたら1〜2文に圧縮していきましょう。以下の7フレーズは、その「圧縮」の完成形です。
74.
「ethos」As someone who’s worked on this for years,
「pathos」 I know how much is at stake for your team
「logos」— and the numbers confirm we can’t afford to wait.
「エトス」この分野で何年も取り組んできた者として、
「パトス」あなたのチームにとって何が危機に瀕しているかわかっています
「ロゴス」——そして、数字は待つ余裕がないことを示しています。
75.
「ethos」I’ve seen this work firsthand,
「pathos」and I know how much the right solution matters to your team,
「logos」— here’s the evidence to back that up.
「エトス」これが実際に機能するのを目の当たりにしました。
「パトス」あなたのチームにとって、正しい解決策がどれほど重要かわかっています。
「ロゴス」——それを裏付ける証拠がこちらです。
76.
「ethos」Trust me when I say this comes from experience
「pathos」— this decision affects every person on our team,
「logos」and the data gives us a clear path forward.
「エトス」これが経験から来ていることを信じてください
「パトス」——この決定はチーム全員に影響します。
「ロゴス」そして、データは明確な前進の道を示しています。
77.
「ethos」My track record in this area speaks for itself.
「pathos」I understand this is a difficult change to accept.
「logos」But when you look at the numbers, the case is undeniable.
「エトス」この分野での私の実績は証明済みです。
「パトス」この変化を受け入れるのが難しいことは理解しています。
「ロゴス」しかし数字を見れば、反論の余地はありません。
78.
「ethos」I’ve been in your position before,
「pathos」and I know how much this matters to you
「logos」— so let me give you three solid reasons why this is the right move.
「エトス」以前、あなたと同じ立場にいたことがあります。
「パトス」これがどれほどあなたにとって重要かわかります
「ロゴス」——だからこそ、これが正しい選択である3つの確かな理由をお伝えします。
79.
「ethos」 With two years of data behind us,
「pathos」I know this feels like a big ask
「logos」— but the numbers leave very little room for doubt.
「エトス」2年分のデータを持つ者として、
「パトス」これが大きな要求に感じることはわかっています
「ロゴス」——しかし、数字はほとんど疑いの余地を残していません。
80.
「ethos」 I’ve navigated this kind of transition before,
「pathos」and I know change is never easy
「logos」— which is exactly why I want to walk you through the three reasons this one is worth it.
「エトス」このような移行期を乗り越えた経験があります。
「パトス」変化が決して簡単でないことはわかっています
「ロゴス」——だからこそ、これが価値ある理由を3つお伝えしたいのです。
7. やってはいけない英語—1つでも欠けると何が起きるか

解説: エトス・パトス・ロゴスは、3つそろって初めて最大の効果を発揮します。しかし実際の英語コミュニケーションでは、日本語話者に特有の文化的パターンから、どれか1つ——あるいは2つ——が無意識のうちに抜け落ちてしまうことがよくあります。「なんとなく伝わらない」「反応が薄い」「合意はされたのに動いてもらえない」——そういった経験がある方は、このセクションを鏡として読んでみてください。それぞれの「欠如パターン」が、英語話者にどう聞こえるかを、before/afterで示します。
❶ エトスなし ——「なぜあなたに言われなければならないの?」
日本のハイコンテクスト文化では、肩書きや年齢、組織がその人の信頼性を黙って保証します。だから「自分には〇〇の経験がある」とわざわざ言う必要を感じない——むしろ自慢のように聞こえる、と多くの日本人は感じます。しかし英語のローコンテクスト文化では、あなたの背景を相手は知りません。信頼は「言葉で積み上げる」ものです。エトスが抜けると、どれだけ感情に訴え、データを示しても、「なぜあなたの言うことを信じるべきなのか」という根本的な疑問が残り続けます。
❌ NGパターン:エトスなし
This is a serious problem that affects everyone on the team, and the numbers prove it — costs are up 35% this quarter.
これはチーム全員に影響する深刻な問題です。数字がそれを証明しています——今四半期のコストは35%増です。
🔍 英語話者の頭の中:
“The data might be right, but who is this person? Why should I trust their interpretation? Anyone can quote a number.”
(データは正しいかもしれないけど、この人は何者?なぜこの人の解釈を信じるべき?誰でも数字は引用できる。)
✅ エトスを加えた修正版
Having managed our cost reporting for the past three years, I can tell you this is a serious problem — costs are up 35% this quarter, and I’ve traced exactly where it’s coming from.
過去3年間、コスト管理を担当してきた者として、これが深刻な問題だとお伝えできます——今四半期のコストは35%増で、その原因を正確に追跡しました。
❷ パトスなし —「正しいのはわかった。でも、だから何?」
これが、日本人ビジネスパーソンが最も陥りやすいパターンです。「感情を出すのはプロフェッショナルらしくない」「データが正しければ相手は動くはず」——この思い込みが、英語の説得を無力にします。ローコンテクスト文化の英語では、論理と信頼性だけでは「頭では理解した」止まりです。相手が実際に動くのは、「自分ごと」として感じたとき——つまりパトスが機能した瞬間です。
❌ NGパターン:パトスなし
As the project lead with five years of experience in this area, I can confirm that our current process has three major inefficiencies, as shown in the attached report.
この分野で5年の経験を持つプロジェクトリーダーとして、添付のレポートに示されているように、現在のプロセスには3つの主要な非効率が存在することを確認しています。
🔍 英語話者の頭の中:
“OK, sure. That’s probably accurate. But why does this feel like a lecture? I’m not sure what you want me to do with this information.”
(わかった、たぶん正しいんでしょう。でもなんで授業を受けてる感じがするんだろう?この情報で自分に何をしてほしいのかよくわからない。)
✅ パトスを加えた修正版
As the project lead with five years of experience here, I want to be direct: these three inefficiencies are costing each of you time you don’t have. I know how exhausting it is to work hard and still feel like you’re falling behind — and that’s exactly what this data is showing us. この分野で5年経験のあるプロジェクトリーダーとして率直にお伝えしたい——この3つの非効率は、皆さんの貴重な時間を奪っています。懸命に働いているのに追いつかない感覚、その疲れはよくわかります。これがまさに、このデータが示していることです。
❸ ロゴスなし ——「気持ちはわかるけど、根拠は?」
情熱と信頼性があっても、「なぜそれが正しいか」の論理的な柱がなければ、英語話者——特にビジネスの場では——懐疑的になります。ローコンテクスト文化では、「感じがいい人が言っているから正しい」は通用しません。パトスとエトスは扉を開けますが、ロゴスがなければ相手は最後の一歩を踏み出しません。「なんとなく賛成」と「確信を持って動く」の差が、ここにあります。
❌ NGパターン:ロゴスなし
I’ve been in this industry for over a decade and I genuinely care about this team. I really believe switching to the new system is the right thing to do — it’s going to make everyone’s life so much easier.
この業界で10年以上のキャリアを持ち、このチームを心から大切に思っています。新しいシステムに切り替えることが正しいと本気で信じています——皆さんの生活がずっと楽になるはずです。
🔍 英語話者の頭の中:
“I appreciate the enthusiasm, and I trust this person — but ‘it’ll be easier’ isn’t a reason. What does ‘easier’ mean, exactly? What’s the evidence? What happens if we don’t switch?”
(熱意はありがたいし、この人を信頼している——でも「楽になる」は理由にならない。「楽」って具体的に何?証拠は?切り替えなかったらどうなる?)
✅ ロゴスを加えた修正版
I’ve been in this industry for over a decade, and I genuinely care about this team’s success. Switching to the new system is the right move — here’s why: it reduces manual input time by 40%, it eliminates the three most common error types we’ve been seeing, and based on a pilot with two other teams, onboarding takes less than a week.
この業界で10年以上のキャリアを持ち、このチームの成功を心から願っています。新システムへの切り替えは正しい選択です——理由はこうです:手入力の時間が40%削減され、最もよく発生する3種類のエラーが解消され、他の2チームでのパイロット結果によると、導入には1週間もかかりません。
まとめ:3つの欠如パターンと英語話者の反応
| 欠けている要素 | 英語話者の反応 | 結果 |
|---|---|---|
| エトスなし | 「なぜこの人の言葉を信じるべき?」 | 内容は伝わるが、信頼されない |
| パトスなし | 「正しいのはわかった。でも自分には関係ない」 | 理解されるが、行動されない |
| ロゴスなし | 「気持ちはわかるけど、根拠は?」 | 好意的だが、決断されない |
The Takeaway(要点):
今回紹介した80のフレーズに共通するのは、「ただ伝えるのではなく、相手を動かすために話す」という意識です。「エトス」で信頼を確立し、「パトス」で感情的なつながりを作り、「ロゴス」で論理の柱を立てる。この3段構えが、英語説得の基本形です。
日本語のコミュニケーションでは、空気を読み、場の雰囲気に任せながら合意を形成します。しかし英語では、「言わないこと」は「存在しないこと」と同じです。「自分の経験を話すのは自慢になるのでは」「感情を出したら弱く見られるのでは」「数字を持ち出したら冷たく見られるのでは」——そういった遠慮が、実は英語での説得力を大きく損なっています。反論が来たときはリフレーミングで会話の主導権を取り戻し、相手が躊躇しているときはリスクを下げる言葉で一歩を踏み出しやすくする。説得とは、押しつけではなく、相手が「動きたい」と思える環境を言葉で作ることです。
これらのフレーズは、一度にすべて覚える必要はありません。まずは各セクションから1〜2フレーズを選び、次の会議やプレゼン、日常会話で意識して使ってみてください。そのとき「エトスで始めて、パトスでつなぎ、ロゴスで締める」という流れを意識するだけで、あなたの英語コミュニケーションは確実に変わります。
そして2026年の今、このフレームワークはかつてないほど重要性を増しています。生成AIの急速な普及により、ロゴス——論理的・構造的な文章——は誰でも瞬時に、無料で生成できるようになりました。ロゴスはもはや差別化の武器ではありません。その結果、AIには容易に再現できない要素——エトス(あなた自身の経験・信頼・人間としての顔)とパトス(生きた体験に裏打ちされた感情・共感・脆さ)——こそが、人が人を動かす場面で唯一無二の価値を持つようになっています。英語で相手を動かす力は、テクノロジーが進化するほど、より人間的になっていく。
📌 コラム:「7-38-55の法則」の誤解に注意
「コミュニケーションの93%は非言語だ」という話を聞いたことがありますか?これは心理学者アルバート・メラビアンの研究に基づく「7-38-55の法則」として広く知られています——言葉の内容が7%、声のトーンが38%、ボディランゲージが55%というものです。
しかしこれは、重大な誤用です。そして、その誤りを最もはっきりと示す声が二方向から届いています。
一つ目は、メラビアン自身です。彼はウェブサイト上でこう明記しています:「これらの数値は、感情や好意に関するコミュニケーションを扱った実験から導かれたものです。話し手が感情や態度について話していない限り、これらの数式は適用できません。」つまり、この法則が有効なのは「言葉とボディランゲージが矛盾しているときに感情を読み取る」という極めて限定的な場面だけです。
二つ目は、**マルコム・グラッドウェルの著書『Talking to Strangers(邦題:他者を理解するということ)』(2019年)**です。グラッドウェルはコミュニケーション研究者ティモシー・レヴァインの「真実デフォルト理論(Truth-Default Theory)」を軸に、人間がいかに対面の観察から相手の意図や感情を正確に読み取れないかを実証的に論じました。ボディランゲージへの過信が、むしろ相手の誤読を生むという洞察は、「55%はボディランゲージで伝わる」という前提を根本から揺るがします。
二つの視点が示す結論は同じです。「何を言うか」の精度こそが、英語コミュニケーションの核心です。エトス・パトス・ロゴスのフレームワークが証明するように、言葉の選択・順序・構造が、相手を動かすかどうかを決定的に左右します。その力を磨くことを、決して諦めないでください。
The most persuasive speakers aren’t the loudest ones in the room — they’re the ones who make you feel heard, trusted, and convinced all at once.


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